著作権のあり方に関する考察 3 無断転載と二次創作の違い

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無断転載と二次創作の違い

まず,著作権を構成する代表的な権利である複製権,翻案権,著作者人格権の3つについて,以下にまとめる.

○複製権
著作権の一種であり,著作物を複製する権利を指す.権利者は他者の無断複製に対し差し止め請求が可能である.公衆に提示しない私的な利用に限り複製自由とされているため,公衆送信権や送信可能化権とセットで扱われる場合が多い.

○翻案権
著作権の一種であり,著作物を翻案する権利を指す.翻案とは元の著作物に依拠する二次的著作物や製品を生産することであり,翻案権の行使により,権利者は他者の無断翻案に対し差し止め請求が可能である.

○著作者人格権
著作権の一種であり,著作者の人格的保護を目的とする権利である. 代表的なものに著作の同一性を保持する権利である,同一性保持権がある.

次に,著作権侵害の成立要件を以下に挙げる.

①侵害されたとされた対象に著作物性が認められること
②著作権が有効なものであり,その権利に及ぶ範囲で利用されていること
③利用者が当該著作物ので正当な利用権限を保持していないこと
④対象となる複製物あるいは翻案物が元の著作物に対し依拠性が認められること
⑤対象となる複製物あるいは翻案物と元の著作物との間に十分な類似性が認められること

上記に挙げた条件から,著作権法における無断転載と二次創作の違いについて考察すると,無断転載や海賊版の販売は複製物であるが故に明らかな違法であるが,パロディや二次創作物は④の依拠性や⑤の類似性について判定の余地が残るため,例え無断であっても完全に違法であるとは判断できない側面がある.翻案権や同一性保持権は及ぶものの,著作物の要素の程度により解釈が異なることから,違法とするかどうかについては,議論が必要であろう.

過去の二次創作物あるいはパロディにおける著作権侵害に関する判例について,いくつかの例を以下に挙げる.

○「パロディモンタージュ写真」事件
雪山をスキーヤーが滑走する白川義員氏の写真にマッド・アマノ氏が巨大なスノータイヤを貼り付けたパロディ写真を製作したことに対し,白川氏が著作権,著作者人格権の侵害を提訴した事件.
第一次高裁では「自由利用として許されるべき」としたが,最高裁は,「引用の要件は,明瞭区分性,主従関係性,著作者人格権を侵害しない,であり,引用の一般的適用要件を欠いている」との判決を下した.

○「ポケットモンスター同人誌」事件
「ポケットモンスター」の同人誌を作成,販売した女性に対し, 任天堂等著作権者3社が複製権の侵害として告訴した事件.被告は逮捕され,同人誌を販売及び頒布目的で所持していたことにに対して罰金を支払った.

○「チーズはどこへ消えた?」事件
扶桑社出版の「チーズはどこへ消えた?」のパロディ本である「バターはどこへ溶けた?」を出版した道出版が扶桑社出版に告訴された事件.これに対し東京地裁は,出版差止仮処分を決定した.

○「ドラえもん最終話」事件
「田嶋・T・安恵」のペンネームで「ドラえもん」の最終話と称した同人誌を作成,販売し,約1万3千部を売り上げ,またインターネット上でも自由に見られるよう公開した男性に対し小学館と藤子プロが警告を行った事件.男性は謝罪し,藤子プロに売上金の一部を支払った.

このように,二次創作物あるいはパロディについて,「パロディモンタージュ写真」事件では,第一次高裁と最高裁で異なる判決が下されているほか,「チーズはどこへ消えた?」事件では告訴,「ドラえもん最終話」事件では警告と,判断が分かれている.

二次創作物に関する著作権者側の対応について,以下に例を示す.

二次創作物とパロディーに関する著作権者の対応
禁止 : 株式会社小学館,株式会社講談社,株式会社白泉社,株式会社サンライズ,有限会社アランジアロンゾ等
条件付で許可 : 株式会社ビジュアルアーツ,株式会社アクアプラス,株式会社ガイナックス(「新世紀エヴァンゲリオン」に限る),株式会社ぴえろ,株式会社ブロッコリー,株式会社オメガビジョン,CLAMP等,多くは個人・同人サークルでの制作を許可.
好意的または肯定派 : 荻原規子(小説家),和月伸宏(漫画家),時雨沢恵一(ライトノベル作家)等.

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hiragushi
自信がもてないアラサー。ぼっち。 少しでも自分を変えたいとじたばたしている。

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