エルニーニョは,スペイン語で「男の子(神の子)」すなわちキリストを意味する.本来はペルー沖に南から温暖な海流が入り込んでくるローカルな現象を指す言葉であったが,現在では,さらに広い熱帯太平洋全域にわたる,大気及び海洋変動を指す言葉として用いられる.
赤道に沿って吹く貿易風が弱まると,ペルー沿岸における冷たい水の湧昇が弱まり,普段は温度の低い中・東部赤道太平洋域の海面水温が上昇する.そのため強い対流の発生する場所が変化し,大気の循環に影響を及ぼす.エルニーニョが発生すると,世界中で異常気象が発生する.
一方,「女の子」を意味するラニーニャは,エルニーニョとは真逆の現象である.赤道の東風が強まることで中,東部赤道太平洋域の海面水温が平年よりも低下することにより,大気循環が乱れる.ラニーニャもエルニーニョほどではないが,異常気象を起こすことで知られている.
南太平洋東部の海面気圧について,平年より高い場合はインドネシア付近での海面気圧が平年より低くなり,低い場合は平年より高くなるというシーソーのような変動をしており,これは南方振動と呼ばれる.南方振動は貿易風の強弱に関連することから,エルニ−ニョ/ラニーニャ現象と連動して変化する.そのため,南方振動とエルニーニョ/ラニーニャ現象を大気と海洋の一連の変化として見るとき,エルニ−ニョ・南方振動(ENSO:エンソ)という言葉が用いられる.
参考・引用文献
エルニーニョ&ラニーニャ.国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構.2014年7月1日検索.(http://www.eorc.jaxa.jp/TRMM/about/result/earth/elnino_j.htm)
エルニーニョとラニーニャ現象とは.気象庁.2014年7月1日検索.(http://www.data.jma.go.jp/gmd/cpd/data/elnino/learning/faq/whatiselnino.html)