ポリフェノールに関する文献調査と市場調査 6 結論

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結論

本稿では,これまでに明らかになっているポリフェノールの分類や機能,生体利用性,及び,既存の製品に関するアプローチや認識をまとめ,ポリフェノール研究と市場における課題を示した.

研究における課題
・統一された分類法の確立
・統一された方法によるポリフェノールの機能性評価
・臨床試験,並びに,動物実験におけるヒト及び動物へのポリフェノールの適切な投与量の設定
・種々の機能性におけるポリフェノール作用発現メカニズムの解明
・ポリフェノールの新たな機能性の検索
・ポリフェノールの生体傷害性に関する研究と対策の検討

市場における課題
・専門家と消費者間における知識乖離の是正
・種々のポリフェノールに関する適切な摂取量の検討
・統一された測定法による製品へのポリフェノール含有量表記・ポリフェノール任意・強調製品の普及推進

これら課題の解決には,研究機関の自助に限らず,行政や医療機関,企業,そして消費者との連携が肝要であるものも多い.ポリフェノール研究が過渡期を迎えている今,新たな枠組みづくりや連携を検討する必要があるものと考えられる.

赤ワインに含まれるポリフェノールが,心疾患や脳血管疾患を防ぐ抗酸化作用をもつとしたRenaud (1992)の報告以降,ポリフェノール市場は急速に拡大した.現在では,赤ワインに限らず,豆乳飲料,大豆菓子,チョコレート,インスタントココアなど,種々の製品にポリフェノールの任意・強調表示が付与されている.しかしながら,一方で,ポリフェノールは諸刃の剣ともいわれ,その安易な利用に警鐘を鳴らす研究者も少なくない.ポリフェノールは私たちがほぼ毎日口にする食品の成分であり,そのものが容易に変化する天然の化合物である.したがって,適切な形での摂取が望ましく,今後もポリフェノールの生体機能性と利用に関する議論の蓄積は不可欠であると考える.

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ポリフェノールに関する文献調査と市場調査 5 ポリフェノールの生体傷害性

参考・引用文献

Renault S,de Lorgeril M:Wine,alcohol,platelets,and the French paradox for coronary heart disease.Lancet 339(8808),1992,pp.1523-1526.

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hiragushi
自信がもてないアラサー。ぼっち。 少しでも自分を変えたいとじたばたしている。

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